「中野さんち、門限とかある?」

「それは……ないけど」

「ちゃんと家まで送るよ。あと、今から行くのはその海岸じゃない」


え?という顔をした私を見て、橋倉くんは優しく、……なぜか少しだけ切なそうに笑った。



「中野さんも絶対知ってるとこ。まあ、すぐわかるよ」



それ以上何も言わず、彼は私の手を引いて、昇降口へ歩き始めた。