夏の妖精が君のもとを訪れたとき、君はどんな表情をしたのだろう。


笑ったのかな。泣いたのかな。

嬉しかったかな。かなしかったかな。


君はいつものように笑って、何も語ってはくれないけれど。


その笑顔がやさしいから、これ以上は何も言わないであげる。



風が、君の頬をやわらかく撫でた。

いっしょに揺れた髪が、窓から射し込む日の光に透けていたのが見えて、私は笑った。



…………ねえ、おだやかな春だね。



君を描いてもいいかな。









end.