だけど眞子は、「そーゆうとこもいいよね」と言っていた。明るい自由人と一緒にいるのは楽しそうだと。


自由人、というと、私の中では他人を振り回す迷惑な人、というイメージがあったから、驚いた。


何にも縛られず、そこすらも好かれていて、明るくて人気者で。



なんだ、悪いところなんかひとつもないじゃないか。



そう考えると、やっぱり橋倉くんが羨ましくて、妬ましかった。

またモヤモヤし始めたのが嫌で、足早にその場をあとにした。







私は美術部員だ。


だけど今の美術部で、真面目に毎日美術室で活動しているような部員は、ふたりしかいない。

私と、ひとつ上の三年生がひとり。


あと何人かいるらしいけれど、ほとんどが幽霊部員だ。会ったことすらないひともいる。


そんな緩い部活だけど、私はあの静かな美術室が好きで、毎日そこへ行っては絵を描いていた。



今日の放課後も例外なく、美術室へと通じる廊下を歩く。


橋倉颯が行方不明らしいけれど、私には関係のないことだ。