「この樹の上で、描いてたの?」
橋倉くんの目は、すごくキラキラしているように見えた。
どうしてそんな目をするのか、全くわからない。戸惑いながら、ぎこちなく言葉を返した。
「……うん」
「すげー!何描いてたの?あ、絵は?」
彼がきょろきょろと辺りを探し始めたので、ぎょっとした。
とっさに画板を回収しようとしたけど、それより早く橋倉くんの手が画板を掴んでしまって。
「………お、野球部?」
「…………………」
橋倉くんが、まじまじと画板に挟んだ画用紙の絵を見る。私はいたたまれない気持ちで、仕方なく黙っていた。
べつに、見られるのが恥ずかしいとか、そういうわけじゃない。