それを見て、ああこれが人を惹き付ける笑顔かと、やけに納得した。
無邪気で、幼い子供みたいに、かわいくて。
いとしい、と思わせてしまう。
そして何故だかほんの少し、見たひとを切なくさせる。そんな笑顔。
「ほ……ほんとに?保健室行った方が」
「だーいじょぶだって。気にすんなー」
彼はそう言って、けらけら笑う。
何が可笑しいのかわからないけど、とりあえず大丈夫そうでホッとした。
だけど、どうして橋倉くんがこんなところにいるんだろう。
私としてはケガをせずに済んでとても助かったけれど、このひとがひとりでいるなんて珍しい。
「………橋倉くんは、なんで、ここに?」
「んー、散歩?」
散歩?
ひとりで、こんな裏庭で……?
「てゆーか、きみはなんで木なんか登ってたの」
納得できずに眉を寄せていたら、今度は私が尋ねられてしまった。橋倉くんの問いに、答えるのを少しためらう。