「お久しぶりです」

「……おや、今日はお友達も一緒なんだねぇ」


私の後ろで、例のごとく店内を見回しまくっている颯を見て、おばあちゃんは目を細めた。


すると、私たちの会話を見つめていた子供たちが、突然騒ぎ始めた。



「あ、オレわかったぁ!理央のカレシだろ!?」

「カレシ!カレシ!」

「理央がカレシつくってるー!」



何がそんなに面白いのか、男子小学生の集団は、私たちを見て笑い転げ始めた。



「………彼氏じゃないから」



この店の常連である彼らとはすっかり顔馴染みで、気安く話しかけられるのも普段は気にしないのだけれど。


今回ばかりは、返す声色が低くなる。子供……特に小学生の男子なんかは、こういうときうるさくて敵わない。


当の颯は、子供たちの言葉に特に気にした様子もなく、いつも通り明るく笑っていた。


「あはは。そー見える?俺ら」

「見えるー!」

「……ちょっと、颯」

「うわ、理央が照れてる!」

「キモッ!」


全く照れていないのに、小学生にそんな暴言を吐かれるいわれはないと思う。