「俺のじーさんの弟の孫」
「んえ?」
「だから、俺のじーさんの弟の孫」
トシちゃんのじーさんの弟の孫。っていうことは、つまり、あれだろうか。世間的に言うと、ハトコってやつ?
「へえ……」
とりあえず理解したというように頷く。
関係性はなんとなく分かった気がするけど、じゃあどうしてここにいるんだろう。新しい疑問が出来たあたしに、トシちゃんは付け足して言う。
「まあ、色々あんだよ」
「ふーん……」
その色々が知りたかったんだけど、もう大して興味もなかったから、納得したフリをして頷いた。
トシちゃんが麦茶をぐいっと飲む。風鈴が、ちょっと長めに鳴った。
「そんでな」
ことり、机の上にコップを置いて、再びトシちゃんはあたしを見る。結露がそのコップに付いていた。
学ランさんのほうを見るのは怖いから、空気だと思うことにして、トシちゃんに目を向けた。
「多分その転校生とやらは、こいつ」
くいっと顎をしゃくったトシちゃん。
そっちに顔を向ければ、学ランさん。
目が合ったから、条件反射でぱっと逸らしてしまったけど、それはそれで、かなり気まずい。
……っていうか、え?
「トシちゃん、今……」
「だから、さっき言ってた転校生」
「が?」
「こいつ」