「っていうか、彼女とかおらんやろー」
「でも、トーキョーに彼女いたりしそうじゃない?」
「あー、柊くんなら有り得るかもね」
みんなは口々に憶測を述べていく。
あたしはそんなの、考えたこともなかったけど。言われてみたら、確かに柊なら有り得そうだと思った。
「一応、様子見よっかな」
「彼女いなさそうやったら狙っちゃいなよー!」
「んー……、そうだね、そうしよっかな」
頷いたスミレちゃんに、みんながまた騒ぎ出す。
それをぼんやり眺めていると、スミレちゃんは思い出したように、ぽつりと呟いた。
「それはそうと、由香ちゃんは?」
「……え?」
みんなの視線は、一気に由香へと注がれる。
隣でずっと黙ったままだった由香は、突然話を振られたことに驚いたのだろう。
ゆっくりと顔を上げ、首を傾げた。
「由香ちゃんだよ」
「私?」
「うん」
由香は不思議そうな、だけど、真面目な顔で。
スミレちゃんは、くるくるの毛先を指に巻き付けながら頷いて言った。
「由香ちゃんは告白、しないの?」
困ったように笑った由香は、隣にいるのに遠かった。