「うん、まあ、格好いいと思うよ」



そう認めた瞬間、きゃーっ、とみんなが高い声で騒ぎ出した。


あたしはただ枕を抱えて、それを眺める。

まるで、自分がここにいないような、そんな気持ちになった。


「ほんとにーっ!?」

「やばいやばい!」

「スミレ、本気で柊くん狙っちゃえばー?」

「お似合いやにっ!」


にやにや笑いながら、スミレちゃんを小突く。被服室全体にみんなの声が響いた。



「うん、でもー……、柊くんって彼女いたりしないの?」


スミレちゃんは、何故かあたしを見てそう言った。

その視線を辿って、みんなも一斉にあたしを見る。


「……ほ?」


な、何故、あたしが見られてるんだろうか。

意味が分からず首を傾げると、スミレちゃんが再度言った。


「だからー、柊くんって彼女いないの?」

「……これはもしかして、あたしに聞いてらっしゃる?」

「うん」


どうしてあたしに聞くんだろうか……!

ハテナで頭が埋め尽くされて、黙ったままでいると。


「だってー、みどちゃん柊くんと仲良いじゃない?」

「はい?」

「知ってるんじゃないかなーって思って。あー、でもみどちゃんは興味ないかー」

「もー、スミレ、みどちゃんが知っとるわけないやーん」


あはは、と和やかに笑いが起きる。

あたしもそれに合わせて笑って、突然湧いてきたもやもやをごまかした。