「みど、そっちの端っこ持ってー」
「ういー」
「スミレ、眺めてないで手伝って」
「うん。でもー、私の布団は敷き終わったからー」
「手伝って」
「……もう、仕方ないね、私がいないと何も出来ないんだからー」
ぶつぶつ言いながら、スミレちゃんは立ち上がる。あたしは由香に言われた通り、シーツの端っこを握りしめていた。
三年の女子は、被服室で寝ることになっている。十数人しかいないから、布団を敷いても広々としていた。
「よし、おっけー」
「じゃあ枕投げしよ、枕投げ!」
早速そう言って枕を持つと。
「まだ早いやろー」
由香は笑って、布団の上に正座した。それに倣って、みんなも布団の上に座っていくから、あたしも枕を抱えたまま、由香の隣で体育座りをする。
「キャンプファイヤーの時間まで、どんくらい?」
「あと一時間くらいあるよー」
「そっかー」
布団の面積は広いのに、みんながぎゅっと集まったから、半分くらいは真っ白だ。
「え、じゃあガールズトークしよーよ!」
「しよしよー!」
そう誰かが言い出すと、急にみんながそわそわし始めた。
えー、どうする?と言いながらもその声は笑いを含んでいて、やる気満々。
あたしは話すようなネタを持っていないから、きゃぴきゃぴしてるみんなを眺めることにしよう。