額を摩りながら、あたしはハズレの人参を食べる。
全部の人参をハートに切ってくれたら良かったのになー。
でも、それだと切るの大変か。かなり手間がかかりそう。
しかも、嫌がりそうな人もいるし。柊とか、柊とか、柊とか。
あー、でもやっぱり、ハート食べたかったな。
そんなことを思いながら、不意に由香を見ると。
「へ」
「……ん?」
「な、何でもない……!」
「そ?」
――……びっくりした。
由香は、穏やかに優しく微笑んでいて。
いつもの由香より、数倍綺麗で。
あたしの知ってる由香とは、まったくの別人みたいだったから。