再び、カレー皿に視線を戻して、人参を掬う。
この形、何て言うんだっけ。あ、そうだ、銀杏切りだ。
そんなことを思いながら食べようとしたとき。
「あれ?」
ふと、たっくんが呟いた。
「なに?」
「この人参……」
首を傾げながら、たっくんのスプーンを見る。
そこには、あたしの人参とは違う形をした人参があった。
「……ハート?」
ぽつりと言うと、由香がぱっと顔を上げた。
「あ、それ、アタリやわ」
「アタリ?」
「人参、一個だけハートに切ったんよ」
「えっ! たっくんいいなー……!」
あたしも欲しい、と視線を送ってみるけど、たっくんはそんなあたしを鼻で笑って。
「そんな目しても無駄やぞ」
すぐさま、それを食べてしまった。
せっかくのアタリなんだから、もっと勿体振って食べようよ。
ぶう、と唇を突き出していると、視界の端に柊が映った。
「……柊さん」
「……うん」
「なに、にやけとんの?」
「空気読め」
「あがっ」
だから、中指は痛いってば。