「そっかー……」

「なにが」

「いや、柊が来て、まだちょっとしか経っとらんよなーって思って」

「あー……」


それなのに、この馴染みよう。

違和感がない。

もちろん、今着ている体操服は全然違うものだし、浮いているといえば浮いているけど。

少なくともあたしは、柊がそばにいることに違和感を感じない。


「あたしは、柊を後ろ姿だけで見付けられるやろか」

「……は?」

「んー、今は制服違うし、体操服も違うし、簡単に見付けられるけどさー」


あたしの青いハーフパンツと、柊の紺色のハーフパンツ。素材の違うTシャツ。


「柊がこの学校の制服着て、体操服着たら、みんなと紛れて分からんくなるんかなーって」

「……」

「……柊さん」

「うん」

「なに笑っとんの」


くすくすと、喉元で笑う柊。肩が小刻みに震えていて、笑っているのを隠してるつもりだろうけど、全然隠れていない。

なんか、あたしが変なこと言ったみたいじゃないか。

膨れっ面で柊を見ると、柊はひとしきり笑って。


「みどりがそんなクサいこと言うと思わなかった」

「失礼な……!」


あーもーやだやだ、言わなきゃ良かった。柊の捻くれた性格を忘れていた、そうだ、腹黒だった。


「みどりが、俺を見付けられるか……」

「も、もういいです……!」

「へーえ」


楽しそう、この人楽しそうなんだけど!