泣きたい……、黙ったままとか、やめていただけませんでしょうか、本当に……。
あたしを見下ろす目が、すごく冷たいもののような気がしてならない。
結局、トシちゃんは笑いながら台所から出てきた。ちなみに言っておくけど、健康的な笑い方じゃなくて、にやにやって感じの笑い方だ。
その手には、麦茶が入った二リットルのペットボトルがある。トシちゃんは三人分のコップを並べてそこに注ぎ、腰を下ろした。
「みどり、とりあえず足崩せ」
そう言われて、痺れかけだった足を崩す。直接畳に正座していたものだから、すねに畳のあとが付いて、でこぼこが出来ていた。そこをさすりながら、体育座りをする。
「お前も、とりあえず座れ」
学ランさんはトシちゃんに指差されて、大人しく座り込む。ちりん、と風鈴の音がした。まだ少し早いけど、それは夏の訪れを告げるようで、とても涼しげだ。
「で、みどり」
「うん」
「ビッグニュースって何?」
いきなり向けられた質問に、ちょっと拍子抜け。
てっきり怒られるのかと思ったから、身構えちゃったじゃないの。
ほっとして、あたしは一口麦茶を飲む。カラン、と氷がコップと音を奏でた。
「それねー、多分トシちゃんびっくりすんよ!」
「はよ言え」
「え、もうちょっと興味持ってくれてもいいやん」
下唇を突き出したけど、しっしっとあしらわれて引っ込めた。