「何になった?」
由香が立ち上がって、こっちに向かって歩いているたっくんに声を掛ける。
「美化班。昼食じゃないで、まあまあやろ?」
じゃんけん二番目に勝ったからな、と付け足して、たっくんは自分の席に座った。
そんなたっくんを大袈裟に褒めて、由香はピンクの画用紙に、美化班、と書き足す。
「美化班って、花の水やりとか言ってたやつ?」
柊は由香に聞いたつもりなのだろうけど。
「そうだよっ」
スミレちゃんが高速で振り向いて、満面の笑みで頷いた。
「今、スミレちゃんの髪の毛すごかったー、ぶわってなっとっ……」
「みど、しっ!」
突然、斜め前にいる由香の手が伸びてきて、口を押さえられる。
本当に髪の毛すごかったのに、と思ったけど、由香が必死に首を振るから、大人しく口を噤んだ。
「花の水やりって、どの花?」
「教室に植木鉢あるやろ? あれとか、中庭の花壇とか。あとは全体的な教室の美化やな。仕事少ないから楽やぞー」
柊の問い掛けにたっくんは楽しそうに答えたけど、それを遮るように雅子先生が言った。
「美化班ってどこになったんやっけー? あ、二班?」
「そうですけど」
たっくんが頷くと、雅子先生は深く微笑んだ。
「あんたら今日、放課後残りな。早速仕事あるで」
ぽかん、と口を開けたまま固まったあたしたち四人。
「……達郎」
「うん」
「仕事、少ないんじゃなかったっけ」
たっくんは柊の問いに、そのはずだったんだけど、と曖昧に笑った。