「なんで画用紙ピンクなん!?」
「何色でもいいって言ったん、たっくんやろ」
「う……」
たっくんを見事に捩じ伏せて、由香はご機嫌だ。
四人の机を引っ付けた、班の形。柊と由香とは向かい合うような形になって、ピンクの画用紙をみんなで囲む。
そんな水曜日、学活の時間。
「班ポスターって、つまり何?」
ポスカをプリントの裏にぶしゅぶしゅしながら、おもむろに柊は口を開く。
たっくんは同じようにぶしゅぶしゅしながら、少し考えるようにしてからこう言った。
「んーと、班のメンバーの名前書いたり、誰が班長か書いたり、班の係は何か書いたり、目標書いたり……」
あと何かあったっけ、と首を傾げて由香を見る。
「だいたいそんな感じやね。要するに、班の紹介みたいな」
「ふーん」
柊は納得したらしく頷いて、画用紙に視線を落とした。
シャーペンで下書きをしていく由香の手を見つめる。
ピンクの画用紙でダメージを受けたたっくんは、もう口出しする気がなくなったらしい。
「みど、赤のポスカある?」
「ぬ、ない」
「どっかの班が取ってったんやろか。ちょっとたっくん、探してきてよ」
「俺?」
「うん」
不満げに口を尖らせながらも、仕方ないな、とたっくんは椅子を引いて立ち上がる。
きっと将来、たっくんはいい旦那さんになると思う、うん。