「夏休みまでこの班ってことはー、お泊り教室このメンバーやね!」
「……お泊り教室?」
楽しそうに言った由香に、柊が不思議そうな顔をした。
「柊、お泊り教室知らんの?」
驚いてそう言うと、柊はちらっとあたしを見て頷く。
上手く説明できそうにないあたしを見兼ねたのか、たっくんが口を開いた。
「六月にあるんやけどさ、みんなで学校に泊まんの。運動場でキャンプファイヤーしたり、自分たちでカレー作ったり」
「ああ、林間学校みたいなやつをここでするのか」
リンカンガッコウ。聞き慣れない単語だけど、多分そんな感じの解釈で合ってるんだろう。
「毎年楽しいよー。お泊り教室でカップル出来たりするし」
由香はそう言って、微笑んだ。ふーん、と柊は頷いて、それから思い出したように言った。
「修学旅行は?」
「この前行ったよー、京都と大阪」
「それは普通にあるんだ」
あたしが答えると、ほっと安心したように息を吐いた柊。何に安心したのかはさっぱりだけど、まあいい。
「それじゃ、水曜の学活で班ポスターとかするから」
雅子先生がそう言ったと同時に、チャイムが鳴った。
慌ただしく荷物をまとめて教室を出て行く先生を見送る。
「とにかく、これから夏休みまでよろしくってことで」
たっくんはにかっと笑いながら、あたしたち三人にそう言った。