「じゃあ、柊は……、とりあえず教卓に荷物置いてくれる?」
「……はい?」
「この前中間テスト終わったからさ、柊も一緒に席替えしましょ」
あたしたちのクラスは、大きなテストが終わるごとに席替えをする。
トーキョーからの転校生、で随分盛り上がっていたから、すっかり忘れていた。
……で。
「おー、柊さん隣ですかー」
「……」
「無視ですかそうですか」
窓際一番後ろ。特等席を獲得したあたしの隣で、トーキョーからの転校生は、鬱陶しそうに溜め息を吐く。まったく、失礼な。
「あ、みども柊も近いー」
そう言いながら、あたしの斜め前に机を運んできたのは由香。
「うっわ、俺ら仕組んだみたいやな!」
白い歯を見せて笑い、たっくんはあたしの前に机を置く。
あたしたちのクラスは、席の近いメンバー四人で、ひとつの班になる。二班にあたるこの位置に、あたしたち四人が揃ったのは、確かにちょっとすごいかもしれない。
「たっくんと由香と同じ班かー。楽しそーう」
「うんうん、そやね。柊も一緒やしね」
由香は笑顔で頷いて、たっくんに視線を向ける。
「たっくん、班長してくれるやろ?」
「仕方ねーな」
たっくんはそう言うけど、班長をするメンバーはだいたい固定している。学級委員のたっくんは、いつも班長だ。