「柊さん、ストップ!」
「……なに」
「各学年、ひとクラスずつだから、教室は全部一階にあるんよ」
「先に言え」
だから、なんで偉そうなんですか、こいつ。
とりあえず納得したらしい柊の前に立って、静かな廊下を歩く。
手前から、一年、二年。そして一番奥にあるのが、あたしたち三年の教室。
「……柊さん」
ドアの前に立ち、小声で呼びかける。
「なに」
「柊さんも同罪だかんね」
「は?」
「怒られるときは、共に怒られようね」
「……え」
反論したそうな柊の声を遮り、勢いよくドアを開けた。
「だからさー、もっと余裕を持って行動しなさいって言っとるやろ?」
「うい……」
「明日からはちゃーんと、予鈴が鳴る前には到着するように」
「あい……」
担任の雅子先生から、案の定お叱りを受けたあたしは、いい子ちゃんな返事をして教室の後ろに向かう。
ヘルメット置き場に自分のヘルメットを置いて、鞄をロッカーに入れて、席に着いた。