「今年の秋は、一緒にいられるね」
至極、嬉しそうに笑うから。
自分の心臓の音が少し大きく聞こえた。
「それ、俺はどう受け取ればいいわけ?」
「……」
「おい」
「……」
「……みどり」
まさか、と思って顔を覗き込む。
その瞬間、一気に肩の力が抜けた。
「……すー……」
「なんでこのタイミングで寝るんだよ」
みどりは幸せそうに頬を緩めながら、寝息を立てていて。
離れようと試みても手はしっかりと繋がれたままで。
しまいには頭をぐりぐりと俺の肩に埋めてきた。
あーあー、もう。
「ばーか」
熱くなった自分の頬には気付かないふりをして、精一杯の悪態を吐いた。
―fin―
「ただいまーって、えー……。なんでこいつら二人とも仲良く寝とんの……」
帰宅した俊彦が一人虚しくそう呟いていたことは、俺もみどりも知らない。