あの頃よりも少しだけ大人になって、化粧をするようになったみどりの瞼にはうっすらと茶色のアイシャドーが乗っていて。

俺と同じくらいの大きさだったみどりの手は、いつの間にか一回り小さくなったように思う。

それはきっと俺の手が大きくなったから、そう感じるだけだろうけど。

薄いピンクで彩られた爪は、不思議とみどりに合っていた。


「……大人に、なったのか」

「そーやにー、大人になったんよー、っていうかいきなりどうしたーん?」

「別に」

「えーなにそれー」


けらけらと笑うみどりを見て、小さく指に力を入れてみる。

そうしたら同じ強さで握り返してくるから、またぎゅっと握る。


チリン、と風鈴が音を立てる。



「もうすぐ、秋やねー」

「うん」

「ひへへっ」

「……笑い方が不気味なんだけど」


そう突っ込んだけれどみどりは気にも留めず、もぞりと動いて俺を見つめて。