「はい終わり、もう無いから」
「えー、嘘やろー」
「嘘じゃないし」
「うーがー」
バンバンと机を叩きながら缶を探している様子を見ると、その事実に納得していないようだ。
何を言っても無駄だろうと思い、しばらくみどりの手を観察していると、その手は不意に俺の手に触れた。
「……んー? これ、柊の手?」
自分が何に触れたのか理解していないらしく、みどりは確認するように俺の手を掴む。
「うん、そう」
「おー」
頷けば、何故か感嘆の声を上げる。
「ふははっ」
「なに」
「柊の手掴まえたー、ふふっ」
「……」
「ほらほらー、柊もごろごろしよー」
「う、っわ」
ぐいっと引っ張られて、身体が傾く。
思いっきり油断していたため呆気なく体勢は崩され、みどりの隣に寝転がる羽目になった。