「ただいま、みどり」 息を吸い込む。 目元を拭う。 口角を上げる。 ただ、その手を握り締める。 もう、夏の風になった。 見上げた空は、今日も青い。 そんな五月の終わり。 「――おかえり、柊」 そうして、新しい夏が幕を開けた。 ―fin―