「いってらっしゃい……っ!」 プシュー、と音がしてドアが閉まる。 ゆっくりと動き出した電車を目で追う。 下手くそな、笑顔だったと思う。 閉まったドアの向こう。 柊が驚いたように目を見開いたのは一瞬で。 すぐに、ふっと笑って。 ばーか、って柊の口が動いて。 それから。 「いってきます」 確かに、そう言った。