「柊くん、元気でねー!」
「ばいばーい!」
「行かんといてー!」
「忘れやんからね!」
クラスメイトたちが色々と叫ぶ中、立ち尽くすみどりと、見つめるだけの俺。
二人だけ、異空間にいるみたいだった。
まだ、何か言いたいことがあるはずなのに、上手く言葉に出来なくて。口を開いては閉じ、閉じては開いて、また閉じるっていう繰り返し。
軽トラのエンジンがかかる。ガタガタと細かく揺れ出した荷台。
ああ、もう出発するのか。
そう思ったときだった。
バタン。
開いた運転席側のドア。
ひょっこりと顔を出した俊彦。
「柊、話し相手おらんと暇やろ?」
「は?」
突然の問いに首を傾げると、俊彦は再度口を開く。
「一人で荷台に乗っとるなんて、暇やろ? うん、絶対に暇やわ」
断言して、一人で頷く俊彦。
何が言いたいのか分からなくて、眉間に皺を寄せる。
すると。
「おーい、みどり!」
「……え、なに?」
「お前も、乗ってくか」
俊彦は、にやりと笑った。