「ご協力、どうもありがとうございました」

「いや、別に」

「びっくりしたけど、あの後は普通に二人で廻ったよ」

「へー……」

「……」

「……それだけ?」

「え?」

「他に、何か無かったわけ?」


じわり、額に浮かんだ汗を拭う。

雑草に視線を落としながら、返事を待っていたら。


「あははっ」

「……なに」

「ごめんごめん、柊が気にしてくれとったとか、ちょっと意外で」


クスクスと一頻り笑ってから、由香はゆっくり口を開いた。


「何もないよ」


独り言みたいに、小さな声。

思わず、雑草を抜いていた手を止める。


「……何も?」

「うん、なーんにも」


穏やかな笑みを浮かべているけど、それは苦笑しているようにも見える。その顔を凝視していると、由香は不意に笑うのを止めて、地面に視線を落とした。