俺の考えを読んだかのようにそう言って、みどりはまた大きなゴーヤを指差した。
促されるまま、それも切る。
気付いたときには、大きなゴーヤはすべて俺が持っていた。
「よし、こんなもんかなー」
「明らかに俺のだけ大きいんだけど」
「遠慮しやんくていいって。持って帰りなー、トシちゃん喜ぶから」
達郎は白い歯を見せて笑い、全員分のハサミを職員室に返しに行った。
「それじゃ、あたしは水汲んでくる!」
やけに張り切っているみどりは、空っぽになったジョウロを持って、また水道に向かった。
残されたのは、俺と由香。
「そんなら、草抜きしよか」
ふわりと微笑み、由香はしゃがみ込んで雑草を抜く。俺もその隣にしゃがみ込み、雑草を抜く。
そこでふと思い出して、口を開いた。
「……由香」
「んー?」
地面に視線を落としたまま小さく呼ぶと、首を傾げた由香。
「夏祭り、どうだった?」
気になっていたことを口にすると、由香は一瞬驚いたように目を見開いて、それから抜いた雑草の根に付いていた土を軽く払う。
「あー……、夏祭りね」
そして小さく呟きながら、何かを思い出すように目を細めた。