「え!?」

「柊、トーキョー戻るん!?」


由香と達郎は、二人揃って目を見開く。


「……うん」


太陽がじりじりと地を焦がす、昼下がり。俺たちは四人で学校に来ていた。


「えー……!」

「うわ、寂しいなー」


二人がそう言うのを聞きながら、近くに生えていた雑草を抜く。ジョウロに水を汲んでくると言って、みどりは一人で水道に向かっている。

教室の前の花壇に植えたゴーヤは、夏休みに入ってから急激に成長していて、窓全面が分厚い緑のカーテンで覆われていた。


「みどには言ったん?」

「あー、うん。夏祭りのときに」


頷くと由香は、そっか、と小さく息を吐いた。


「いつ戻んの?」

「森ヶ山線の運行が再開したら、すぐだと思う。二学期から向こうの学校に行くことになってるから」

「え、もうすぐやん! お別れ会しやんと!」

「それはしなくていい」


焦る達郎に苦笑しつつ、また雑草を抜く。お別れ会なんてされたら、余計に離れがたくなるのは、目に見えている。


「えー……、そうか?」


腑に落ちないとでも言いたそうな顔をして、達郎は俺の隣に渋々しゃがみ込み、雑草を抜いた。