ざくり、ざくり。
一歩踏み出すたびに、足元で砂利が音を立てる。
繋いでいた手は、いつの間にか離れていた。遠くで、人々のざわめきが聞こえる。
屋台の並ぶ道を抜けると、ひっそりとした境内に辿り着いた。
「……ぶふっ」
堪えていた笑いを小さく漏らす。
斜め前を歩いていた柊は、あたしのそれが聞こえたみたいで、ようやく足を止めて振り向いた。
「柊さん、やりましたな」
「うん」
「……」
「……」
「……あははっ、楽しかったー!」
「ははっ」
笑いながら、近くにあった段差に座れば、柊も声を上げて笑って、隣に腰を下ろした。
「いやー、逃げ切ったなー!」
「達郎の顔、必死すぎたよな」
「あはは、確かに!」
静かな境内に、二人分の笑い声が響く。
手に持っていたイチゴのかき氷は少し溶けていて、ストローで吸い上げると、ずごーっ、と低い音がした。