何色にしよっかな、やっぱりここはオレンジかピンクかな。あ、でも、透明のやつも珍しいし可愛い。取りやすそうな位置にあるし、透明にしよう、そうしよう。

よし、と意気込んで、こよりを水の中に入れ、ゴムの輪に金具を引っ掛ける。そのまま、すっと引き上げた。


「あれっ」


しかし、取れたのは透明でもオレンジでもピンクでもなかった。


「あー、間違えたー……!」


取れたのは、青。

どうやら、すぐ近くにあった輪と間違えたみたいだ。


でも、まあいっか。青も青で、なかなかに綺麗だし。


「おじさん、ありがとーっ!」

「はいよー」


ほくほくしながら、おじさんにこよりを返す。中指にゴムの輪を通して、叩いてみると、青は元気に跳ねた。


「満足した?」

「うん!」


首を傾げた由香に、頷いて立ち上がる。



すると。


「あれ、みどちゃん、由香ちゃん?」


聞き慣れた声がして、ぱっと勢いよく顔を上げれば。


「わ、スミレちゃん!」


鮮やかな赤色の浴衣を着たスミレちゃんが立っていた。その近くには、きょんちゃんたちもいる。