「おおー! お母さんすげー!」
「すげーやなくて、素晴らしいやろが」
「素晴らしいですお母様」
っていうか、あたしの髪の毛の長さでお団子出来たんだ。
感心しながら、それを触ろうとしたら、頭上に伸ばしかけた手は素早く叩かれた。
「触ったらあかん」
「なんで!」
「かなり無理矢理結んだから」
「……」
やっぱりあたしの髪の毛でお団子は、厳しいものがあったらしい。念のため、と言ってもう一回ケープを振り掛けられた。
そのとき。
ピーンポーン。
「うっそお、もう来た!」
「あ、ちょっと走らんといて!」
「この下駄履いてくで!」
「みど、荷物忘れとる!」
「ありがとー、行ってきます!」
「だから走んなっての! 帰って来たら今日こそ宿題やるんやでーっ!」
お母さんの叫び声を背中で受けて、ドアを開けた。
すると。
「わっ!」
「うわ」
驚いて、思わず声を上げる。
同じタイミングで声を上げた目の前の人物は、柊だった。