「あ!」
「なに」
首を傾げれば、掴まれていた腕が、ぱっと離される。
そういえば、ずっと掴まれたままだった。
「ごめん」
「……別に」
掴まれたままでも、別に良かったのに。
そんなように名残惜しく思ってしまった自分は、頭が可笑しくなっているらしい。
夜だから。うん、きっとそうだろう。
さあっと風が吹いた。
近くの木々が、葉を揺らしてざわめく。虫の鳴き声は不意に消えた。
もう一度、線路を見る。
隣でみどりも、じっと線路の先を見つめていた。
そんな、星が瞬く夜のこと。
――タイムリミットは近い。
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