振り向くと予想通り、みどりがいて。
その両脇には草がたくさん入ったゴミ袋が二つ、置いてある。
「……みどり」
「おー、柊がちゃんと草抜きしとるー! めっずらしー!」
首に何かのキャラクターのタオルを掛けて、麦藁帽子を被って、軍手を嵌めているみどり。
何故だろう、まったく違和感がない。
「これはこれはみどちゃん! いいところに来てくれたね! ムヒ持ってないー? あ、背中掻いてくれてもいいんだけど」
「え、何プレイですかそれ……!」
さすがのみどりも、もぞもぞと動く物体のことは理解しがたいようだ。じりっと後退りしたのを見て、父親はまた両手で顔を覆った。
「悲しい……っ! 柊パパは悲しいよ、みどちゃん……っ!」
「なに、どういう状況なんっ!?」
「……見ての通りや」
俊彦の呟きに、ますます意味が分からないとでも言いたそうに、みどりは首を傾げる。
誰も相手にしてくれないということが分かったのか、父親はムヒを取りに家へと歩き出した。
「みどりは何してんの?」
「パパさん放っといて大丈夫なん……?」
「大丈夫だろ。で、何してんの?」
「ん? えっとねー、軽トラ探しに行くんよー」
「……軽トラ?」
軽トラを探しに行くって、どういうことだ?
眉間に皺を寄せると、隣から俊彦が話に加わってきた。