「これ、開けてみてもいい?」

「うんっ」


指差されたのは、ピンクの包装紙に包まれたプレゼント。大きく頷けば、由香はセロテープを慎重に剥がし、丁寧に開けていく。

ほとんど無傷のままの包装紙に感動していると、しばらくしてその中身が見え始めた。


「わ、可愛い! 何これ、入浴剤?」

「へへっ、うん!」


数個の入浴剤が小さなピンクのカゴに入ったセット。見た目から可愛くて、値段もお手頃だったから。

去年まで文房具ばかりを渡していたけど、こういうのって、ちょっと大人になった気分だ。

来年はマニキュアとかでもいいかな、なんて。そういうことを考えると楽しくて、自然と自分の頬が緩んでいく。


「ありがとう、みど」

「どういたしましてーっ」


ふわっと笑った由香に笑顔を返す。

そこで不意に、トシちゃんから駄菓子を預かったことを思い出して、またカゴバッグを漁る。


「危ない危ない、忘れるところやった……!」

「え?」

「はいっ、トシちゃんから」


ビニール袋を差し出してそう言うと、由香は訝しげにそれを受け取った。


「……駄菓子?」

「賞味期限が切れそうやからって言っとったけど、多分照れとるんやろねー」

「トシちゃんらしいね」


くすくすと笑った由香は、あたしの渡したプレゼントの隣にビニール袋を並べる。


と、階段を上る足音がして、たっくんが戻ってきた。