「バレンタインとか、ちゃんと毎年手作りしとるしっ!」
「まじか」
「まじです」
「溶かして固めてるだけじゃねーの?」
「……、手作りしとるしっ!」
「え、なに、今の間。絶対溶かして固めてるだけだろ」
溶かして固めるだけの何が悪いって言うんだ。れっきとした手作りじゃないか。
それなのに柊は、また馬鹿にしたみたいに鼻で笑う。
「そんなに言うんやったら、バレンタインに作ったるわ、みどりスペシャル!」
「みどりスペシャルって何」
「あたし特製のスペシャルチョコ!」
「ネーミングセンス皆無だな」
こいつは人を馬鹿にすることしか出来ないのですか。柊パパはあんなにいい人だというのに。
……あれ、でもあたし、何回か柊パパに貶されたことあるような気が。
「ネーミングセンスとかどうでもいいやろ! とにかくバレンタインに証明したるでな!」
「あー……、はいはい」
ふんっ、と鼻息荒く座り直す。
くすくすと柊が喉元で笑っているのが耳に入ったけど、気にしていたらキリが無さそうだから放置しておいた。