「おー、母さんが由香の誕生日やからって、張り切って作っとったんやわ」
あたしの心を読んだかのように、たっくんが説明しながらローテーブルの上に置く。
「すっごいなー、たっくんママ!」
感嘆の声を上げるあたしに、たっくんは白い歯を見せて笑い、ケーキを切り分けていく。
ちらっと横を見ると、柊はケーキを凝視していた。
「めっちゃ美味しそうやんね!」
お皿とフォークを並べながら同意を求めてみれば、柊は素直に頷く。その反応に満足して口角を上げると、じとーっと見つめてきた。
「……え、なに?」
「みどりは無理そうだな」
「お?」
「こんなの、手作りとか絶対出来なさそう」
「……はあん?」
喧嘩売ってるのかね、こいつは。馬鹿にしてるみたいに鼻で笑わなくてもいいでしょうよ!
「失礼なっ! 柊に馬鹿にされるほど、料理出来やんわけじゃないしっ!」
「……え」
「ええー……、そんな衝撃的な顔されましても……」
信じられないとでも言いたげに、柊は目を細める。
柊さんよ、ちょっとあたしを見くびりすぎじゃありませんか。