「ヒイラギやよ、ヒイラギ。クリスマスの飾りとかであるやろ?」
「……わ、なるほど!」
ぽんっと手を叩く。確かに、ヒイラギってクリスマスのイメージだ。
「そっかー、クリスマスか。じゃあみんなで誕生会しやなねっ!」
「そやねー」
楽しみがまたひとつ増えたのが嬉しくて、口角が上がる。
「……、あっそ」
「もー、柊さんってば、素直に喜んだらいいのにーっ!」
肘で突っついてみたら、調子に乗るなってデコピンされた。
「あ、そういえば」
カルピスを飲んでいれば、不意にたっくんが立ち上がる。
どうしたんだろう、と視線を向けると、たっくんは部屋から出ていってしまった。
「何やろ、トイレかな?」
「さあ?」
「っていうか、ドア閉めていってよー」
せっかくの冷気が逃げていってしまうじゃないか。
そうは思うものの、立ち上がるのは面倒くさい。むっと頬を膨らませて、少し開いているドアを見つめていたら、階段を上る足音が聞こえてきた。
「たっくーん、ドア……」
言いかけて、止める。
「あ、ごめんごめん」
白い歯を見せて、へらりと笑ったたっくん。
「ケーキ!」
その手に持っていたホールのケーキを視界の中心で捉えて、目を輝かせた。
苺がたくさん乗っているし、大きいし、美味しそう。こんなの、どこから調達してきたんだろう。