そそくさとごみ箱を戻して、顔を上げる。

すると、ちょうど紙吹雪が付いていた辺りの髪を撫で付けている由香と、目が合って。


「由香、誕生日おめでとう!」


もう一度、さっきと同じことを言う。


「ありがとう」


ふわりと笑った由香の頬は、少し赤かった。

その原因はきっと、たっくんだろう。




「よし! じゃー、とりあえず座ろか!」


仕切り直すようなたっくんの言葉に頷いて、正方形のローテーブルの周りに座る。

あたしの右に由香、左に柊、向かい側にたっくん。

カルピスが入った2リットルのペットボトルが、その中心に置いてあった。それを開けて、四人分のコップに注ぐ。

全員にカルピスが行き渡ったのを確認すると、たっくんがコップを持って。


「そんじゃ、かんぱーい!」

「かんぱーいっ!」


コツン、とコップが音を立てた。


「やー、それにしても、由香も15歳かー」

「来年は結婚できるやんっ!」

「ふふ、来年やったら、みども結婚できるやろ?」

「わ、そっか!」


言われて気付く。そんなのまだまだ先のことだと思っていたけど、案外早いものだ。

来年の自分がどうなっているのか、はっきりと想像出来ないけど、少なくとも結婚とは無縁の16歳になっていることだろう。