「……ったく、みどは期待を裏切らんっていうか、なんというか……」

「すみませんごめんなさいすみません」


苦笑するたっくんに謝りながら、じっとりとした柊の視線に身を縮こまらせる。


八月一日。由香の誕生日。

毎年誕生会を開いているあたしたちは、たっくんの部屋でその準備をしていた。柊も誘ったつもりでいたけど、どうやらそれは思い違いだったみたいで。折り紙の輪を繋げて作った飾りをカーテンレールに吊り下げる柊は、さっきからあたしに白い目を向けてくる。


「ごめんなー、柊。俺がみどに任せたのが失敗やったわ」

「本当にな」

「うぐっ」


地味にきついです、この状況。


しくしくめそめそしながら、たっくんと柊の容赦ない視線に耐えていると。



ピーンポーン。

部屋に響いたインターホンの音。


「えっ、もう由香来たんか?」

「やばいやばい! たっくんも柊もこれ持って!」

「え」

「由香が部屋に入って来たら鳴らすんやで!」


どたばたと駆け回って、たっくんと柊にクラッカーを渡す。

状況がいまいち理解出来ていないのか、柊は突っ立ったままクラッカーを見つめていた。

そんな柊の腕を引っ張り、ドアの横にへばり付いて隠れる。

反対側に隠れたたっくんと目を合わせて、よし、と頷いた。