「おーい、柊。みどりと達郎が来てんぞー」


気怠げに戸を開けてそう言ったトシちゃんは、そのまま家の中へと消える。

少し待っていると、トシちゃんの代わりに不機嫌そうな柊が顔を出した。


「おはよー!」

「おはよう、柊」

「……お前ら、何してんの」


いかにも低血圧ですオーラを出しながら、柊はぼそっと呟く。


「何してんのって、呼びに来た!」

「は?」

「え?」

「……なんで?」

「はい?」


柊は寝ぼけているんだろうか。

こんなに大事な日を忘れるなんて。


「は?」


だけど柊は、本気で意味が分からなさそうな顔をしていて。さらに不機嫌になった気がする、睨まれているような気がする、舌打ちしそうな気がする……!

焦りながら振り向くと、苦笑するたっくんがいて。


「え、みど、ちゃんと柊に言ったん?」

「言ったよ、……多分!」


必死にそう言うと、たっくんは大袈裟に溜め息を吐いた。失礼な、ちゃんと言ったもん、……多分。

だんだん自信がなくなってきたあたしは、口を尖らせてそっぽを向く。それを見てか、たっくんは再度溜め息を吐いた。