スイカを冷やすのなんて、一人で大丈夫だろう。俺は寝るつもりだったんだけど。
そんな思いを含んで聞けば、立ち止まったみどり。
「だって、柊が言ったやん」
「……何を?」
「三人で残されたら、邪魔者じゃん、って」
そう言ったみどりの視線の先を辿る。
由香と達郎が、二人並んで座っていた。
「あー……、そっか」
そういえば、そんなことを言ったような気がする。
覚えていたのか、と思いながらぼんやりと二人を眺めて突っ立っていれば、すっと手首からみどりの手が離れた。
何事かと思えば、ここにしよっかな、と呟いてしゃがみ込み、みどりはスイカを川の中にそっと置く。
そして、周りにある大きめの石を数個、スイカの下流側に並べた。
スイカが流れていかないようにしているのだろう、……多分。
俺からしてみれば、石を並べただけじゃ全然意味がないように思えるけど。
「これでよし!」
みどりは満足そうに笑い、ぽんぽんと軽くスイカを叩いた。その笑顔に、不安が募る。
「えー……、これで大丈夫なわけ?」
「なんで?」
「普通、ネットに入れて、切り株に引っ掛けたりするんじゃねーの?」
サッカーボールを入れるようなネットを思い浮かべて言うと、不思議そうな顔をされた。