「いーいーなー」


隣から感じる視線にいちいち構っていたら厄介だから、思いっきり顔を逸らす。


「ちょ、顔逸らさんといてよー!」

「いやだ」

「えー!」


空を見上げれば、飛行機が山の向こうに飛んでいくところだった。そこから伸びている飛行機雲の他に、雲はあまりない。


「いーいーなー、冷たそうー」


無視しているというのに、みどりはまた呟いた。

鬱陶しくなったから、デコピンしようと手を伸ばせば、みどりもペットボトルへと手を伸ばす。


「あー、もう、なに?」

「いいやろ、ちょっとくらい触らせてくれても!」

「いやだ」

「あたしだっていやだ!」


何なんだ、本当に。面倒くさいし扱いづらい。

舌打ちしたい気持ちを抑えて、もう一口、氷を口に入れた。


「あー……」


残念そうにペットボトルを見つめるみどり。

じーっと視線を送られると、余計に暑く感じる。