「何してんだよ……」
「待って待って! 今押し込むから!」
「いや、無理だろ」
鞄を叩いてカゴに押し込もうとしているみどりに、呆れて溜め息が出る。仕方なく、由香と達郎に顔を向けた。
「先に帰ってていいから。俺とみどりは後で帰るから」
「そやな、分かった」
「みど、また後でね。お昼食べたら呼びにいくから」
「え……っ!」
みどりは明らかにショックを受けたような顔をしているけど、由香も達郎も爽やかに受け流す。
そして、ヘルメットの顎紐をきっちりして、去っていった。
「そんな……!」
「みどり、とりあえず鞄引き抜け。で、荷台に取り付けるから」
「えー……」
名残惜しげに由香と達郎の後ろ姿を見つめるみどり。一向に動く気配がなかったから、思いっきりデコピンしてやった。
「う!」
「みどり、鞄」
「えー……」
「は、や、く」
そう言って急かせば、ようやく動き出す。