「え、トシちゃん来るかなー?」
「トシちゃんは来やんやろ、もやしっ子やから」
「あー、そっかー」
「ひょろひょろやしー」
俊彦も、随分な言われようだ。
「じゃあ、俺んちのスイカ持ってったろか?」
「お、ありがとー、たっくん!」
「はいよー」
鞄から自転車の鍵を取り出して、頷いた達郎。それを見て、みどりも鍵を取り出す。由香はすでに鍵を差し込んでいた。
俺は人込みから少し離れたところで、三人が自転車を出すのを待つ。
すると。
「ぐあっ」
「……なに」
みどりの奇声が聞こえた。
眉間に皺を寄せながら近付いてみれば。
「……どういう状況」
「鞄がカゴに入らん……!」
パンパンに膨れたナイロンの鞄が、カゴに入らずに突っ掛かっていた。
達郎と由香はもう鍵を外したらしく、サドルに跨がって苦笑している。