「みど……、今日全部持って帰るんか?」

「うん」


即答したみどりに、達郎は苦笑する。


「もっと計画的に持って帰りなよー」


由香は呆れたように笑った。

俺も鞄を持って立ち上がり、慌てているみどりのつむじを眺める。


「なっつやすみー! なっつやすみー!」


ワタルの高い声が、ざわめきの中で際立って聞こえてきた。



「ねえねえ、柊くん」


突然後ろから声がして、振り向けば案の定、相澤で。


「なに」

「柊くんって、夏祭り行くの?」

「……夏祭り?」


聞き返すと、相澤は大きく頷く。

夏祭りがあるなんて、初耳だ。いつにあるのか知らないし、答えようがない。


「え、柊も行くやろ?」


黙ったままでいると、当たり前だとでも言うように、達郎が話に入ってきた。