「普通、折れるんじゃねーの?」
「ほ?」
「枝。ハサミで挟まれたら折れるだろ?」
「……まじで知らんのか……!」
「うん」
頷くと、みどりは地面に視線を落とした。一体何をしているのかと思えば、枝を探しているらしい。
「あ、あったあった!」
「なに」
「これくらいのやつやったら、たいてい折れやんよ」
そう言ってみどりが拾ったのは、本当に細い枝。ツルと言ってもいいかもしれない。
「え、これは無理だろ」
「いやいや、本当に大丈夫なんやってー」
「無理」
「っていうか、ザリガニ釣っとって枝が折れたことなんてないんやけど」
「うわ、絶対それ盛ってる」
「本当やってばー!」
「むーりー」
普通に考えて、折れないわけがない。
みどりは頬を膨らませているけど、そんな細い枝でザリガニを釣ろうってほうがどうかしている。
「柊はザリガニのハサミの力を過信しとるわ」
「みどりは侮りすぎだろ」
「え、あたしザリガニ釣りのプロなんやけどー……」