ずっと黙っていると、不意にワタルがキンキンと響く声で言った。
「そういえば、柊っていつまでその制服なん?」
「え?」
「だってさー、普通は転校してきたら、その学校の制服買ったりするやん?」
「あー……」
「でも、三年のこの時期やから、買わんくてもいいとかあるんちゃうの?」
「きょんは分かっとらんなー、むしろ三年やからこそ、制服とかってちゃんとするもんちゃうん? ほら、入試とかあるし」
「うわ、ワタルのくせに生意気や」
「はー?」
「はいはい、そこまで」
痴話喧嘩が始まりそうになったのを、達郎が苦笑いで止める。
みどりは紙飛行機がひとつ完成して、飛ばそうとしているみたいだけど。俺が囲まれているからその巻き添えをくらって、身動きが出来ないでいる。
「まあ、あれっちゃう? 二学期からはこっちの制服でー、みたいな」
「あ、それ有り得そうやな!」
「じゃあ、二学期が楽しみやねー!」
飛ばすのは大人しく諦めたらしく、違う解答用紙で、また折り紙をし始めた。
「期末テスト終わったってことは、もうすぐ夏休みやねー」
不意に由香が言う。
そうか、もう夏休みになるんだ。ついこの間、この町に来たような気がするのに、月日の流れは早い。