しん、と静かになった三人。こうなりそうだったから嫌だったのに。


「493……?」

「……493?」

「493点って言った?」


達郎と由香はぽかんと口を開け、みどりは紙飛行機を折る手を止めて、目を見開いて俺を凝視している。


「あー、やっぱり柊くんって賢かったんだー!」


いつの間にか聞き耳を立てていたらしい相澤が、高い声でそう言った。


「すっごいねー、むしろどこ間違えたのって感じだね! 私はいつも450点超えるけど、さすがに493点は取ったことないよー、まあ当たり前に450点は超えるんだけどねー」

「……へー」

「っていうか、柊くんの制服のボタンに描いてある校章って、どこかで見たことあるなーって思ってたんだけど、あの学校だったんだね」

「あの学校って?」


不思議そうに聞いたみどり。

相澤は少し興奮しているのか、度忘れしたのか分からないけど。


「ほらー、あの、あれだよー」


と繰り返し言っている。


「とにかく凄いところなの! 私立の中高一貫で、東大京大の合格率も良くて、クイズ番組とかたまに出てたりするところで!」

「へー……、あんまりよく分からんけど、とにかく賢いんやね……!」


みどりはそう感嘆の声を上げるけど、それはもう、どうでもよくて。

それよりも、クラスのみんなが集まってきたのをどうにかしてほしい。


「脳みそどうなっとるんやろなー」

「すごいなー」

「ちょっと頭分けてほしいわ」


口々に話す声を聞きながら、曖昧に流す。