「なに、みど何点やったん?」
さっきまで会話に参加していなかった達郎が、興味津々といった様子でみどりと由香の間に入っていった。
それを横目に、俺は間違えた問題を見直し始める。
「え、みど420点!? 俺も俺も!」
「たっくんも420点やったん? 一緒やね!」
さっきは耳打ちしていたのに、もういいのか。大声で点数を言い合い、一緒だと騒ぐみどりと達郎。
「由香は?」
「私はー、みどとたっくんの点数プラス26点やった」
「プラス26点って……え、446点!?」
「さすが由香やなー」
間違えていたのは計算問題だった。マイナスを付け忘れたっていう、ケアレスミス。
あとは記述も、言葉が足りなくて丸が貰えていなかった。解説を読みながら、青ペンで直していく。
「そういえば、柊は何点やったん?」
「え」
突然、達郎から声を掛けられた。
少し集中していたものだから、一瞬何を聞かれたのか分からなかったけど、冷静に考える。
「それ気になるわー。柊って賢そうやもんね」
由香は好奇の目で見てきて、みどりも解答用紙で紙飛行機を折りながら俺を見た。そんなふうに見られると、なんか言いにくいんですけど。
「何点何点?」
「えー……」
これは絶対に言わないといけない雰囲気になってしまった。達郎なんて前のめりになっている。渋っても急かされるだけで、意味がない。
「絶対に言わないと駄目なわけ?」
「はーやーくー」
「……あー、もー……」
深い溜め息をひとつ。腹を決めて、小さな声で言った。
「……493点」