「やー、なんか久しぶりだねー。相変わらずみどちゃんは可愛いなー」
「へへっ」
「うんうん、小さくて可愛いよー」
「へへっ、……え、あれ?」
あれ、またさりげなく貶された気がするのは、気のせいだろうか。
あ、そうだ、漫画とタッパー渡さないと。トシちゃんに渡せって言われたけど、パパさんに頼んだらいっか。
そう思って、再び口を開こうとしたら。
「あ、ちょっと待っててね、柊呼んでくるからー」
「……はい?」
「照れなくてもいいよー、照れてるみどちゃんも可愛いけどねー」
「え、照れ……?」
「だーいじょーぶだよ、おじさん、こう見えてそういうのには鋭いほうだからさ」
「鋭い……?」
「柊のことで聞きたいことがあったら、何でもおじさんに聞いてくれていいからねー」
「う、え、はい?」
あたしが口を挟む隙も与えず、ペラペラと話し続けたパパさんは、言いたいことだけ言って、家の中に戻っていってしまった。
その素早さに、ぽかんと口を開けていると、再び戸がゆっくり開いた。
「……そういうことか」
「うい?」
あたしの顔を見た瞬間、溜め息混じりに呟いた柊。
髪がちょっと濡れているところを見ると、どうやらあたしと同じく、お風呂上がりらしい。
訳も分からず、ぽかんとしていると、面倒くさそうに柊は言った。
「あいつがやたらと、にやにやしてたから」
「あいつってパパさん?」
「うん」
にやにやされる要素があたしにあるってこと?
より一層、訳が分からなくなって首を傾げる。